⚠️ はじめに:いまネパールへの観光渡航はおすすめできません
2026年8月26日、ネパール中部で大規模な洪水・土石流が発生しました。
中国国境付近で起きた土石流がボテコシ川(トリシュリ川)を下り、川沿い約150kmにわたって交通網・通信網が断絶。ネパール政府の発表では9月1日時点で死者1,000名超、行方不明者は4,000名近くにのぼっています。日本人旅行者も巻き込まれ、捜索が続いています。
そして被災したトリシュリ川沿いは、カトマンズとポカラを結ぶ観光ルートそのものです。チトワン(国立公園で知られる地域)も被災地域に含まれます。
この記事は「災害前のネパールの姿を記録し、いつか復旧したときのために残しておく」ものです。いま航空券を取るための記事ではありません。

まだ捜索が続いている最中です。この記事は「行きましょう」ではなく、「いつか行ける日のために覚えておこう」という気持ちで書いています
Contents
何が起きたのか

中国国境付近で大規模な土石流が発生
ネパールと中国・チベット自治区の国境付近で、大量の水・土砂・岩石が一気に流下。ボテコシ川(下流ではトリシュリ川)に沿って被害が広がりました。
川沿い約150kmで交通網・通信網が断絶
ラスワ郡、ヌワコット郡、ダディン郡、チトワン郡とその周辺で甚大な被害。集落や道路、橋、水力発電関連施設が流失した地域もあります。ネパール政府は最高警戒レベルのレッドアラートを発令しました。
死者1,000名超、行方不明4,000名近く
ネパール政府の発表による数字です。日本人旅行者も巻き込まれており、捜索・救助活動が続いています。国連、赤十字、各国政府による緊急支援が展開されています。
二次災害の可能性も指摘されています
上流に堆積した土砂が川をせき止めており、それが崩れた場合に再び下流へ流れ出す危険が指摘されています。ネパール政府は河川沿いの住民に注意を呼びかけています。外務省も2026年9月3日付でスポット情報(注意喚起)を発出しました。
なぜ「観光ルートそのもの」なのか
ネパール観光の王道は「カトマンズ+ポカラ」です。この2都市を結ぶ陸路は、トリシュリ川に沿って走る幹線道路(プリティビ・ハイウェイ)。今回の被災帯と、まさに重なっています。
| 被災した地域 | 観光との関係 |
|---|---|
| トリシュリ川沿い | カトマンズ⇄ポカラの幹線道路が通るルート |
| チトワン郡 | 国立公園で知られる、サファリの人気エリア |
| ラスワ郡 | ランタン方面へのトレッキングの玄関口 |
| ヌワコット郡・ダディン郡 | カトマンズ北西の丘陵地帯。街道沿いの集落が点在 |
つまり「カトマンズだけなら大丈夫では」という単純な話ではありません。道路網や物流、そして何より現地が災害対応の最中にあるという状況を踏まえる必要があります。
いま、旅行者にできること
🤝 「行かないこと」も支援のひとつです
- いまは渡航を控える
災害対応の最中に観光客が入ることは、現地の負担になります。 - 支援を届ける
日本赤十字社をはじめ、複数の団体が緊急支援の募金を受け付けています。信頼できる団体の公式サイトから直接手続きしてください。 - 正確な情報を共有する
災害時は誤った情報も広がります。公的機関の発表を確認しましょう。 - 復旧したら訪れる
ネパールは観光が主要な産業のひとつです。落ち着いたときに訪れることが、長い目で見ればいちばんの支援になります。
この先に書いてあること
ここから先は、洪水が起きる前のネパールを回るなら、というモデルコースです。いま実行できるものではありません。
それでも書き残しておくのは、「ネパールがどんな国だったか」を記録しておきたいからです。そしていつか復旧したときに、「じゃあ何を見に行こうか」とすぐ動けるように。
【洪水前】モデルコース全体図
⚠️ 以下は2026年8月の災害より前のルートです。
カトマンズ⇄ポカラの陸路は被災区間と重なっており、現在このとおりには回れません。

| Day1 到着日 | トリブバン国際空港 → カトマンズ市内 → ダルバール広場 → スワヤンブナート → ボダナート |
| Day2 移動日 | カトマンズ → ポカラ(国内線で約30分/陸路は約6〜8時間)→ フェワ湖のボート → レイクサイド散策 |
| Day3 最終日 | サランコットの日の出(アンナプルナ連峰)→ レイクサイドでお土産 → カトマンズへ戻って帰国 |
ポイントは「カトマンズ⇄ポカラは国内線を使う」こと。陸路は災害前から片道6〜8時間かかる山道で、子連れにはかなりの負担でした。飛行機なら約30分です。
Day1|カトマンズの3つの世界遺産
トリブバン国際空港 → 市内へ
📷(写真:カトマンズ市内の街並み)
ポイント:空港から市内までは車で約30分。ホテルの送迎を予約しておくのが確実です。カトマンズは標高約1,300mで、日本の夏より過ごしやすい気候。ただし空気の汚れが気になる日もあり、マスクを持っていく人も多い街でした。
移動:ホテル送迎が確実
ダルバール広場(世界遺産)
📷(写真:多層屋根の寺院が並ぶ広場)
ポイント:旧王宮を中心に、木彫りの装飾が施された多層屋根の寺院が立ち並ぶ広場。ネパール建築の集大成のような場所です。2015年の地震で大きな被害を受け、修復が進められてきました。広場では人々が日常的に行き交い、鳩がいて、子供が走り回れる空間でもありました。
ベビーカー:△ 石畳と段差があり抱っこ紐が安心
子供向け情報:入場料が必要。寺院内は靴を脱ぐ場所があります
スワヤンブナート(世界遺産)
📷(写真:丘の上の仏塔と眼下のカトマンズ)
ポイント:丘の上に建つ仏塔で、たくさんの猿がいることから「モンキーテンプル」とも呼ばれていました。頂上からはカトマンズ盆地が一望でき、五色のタルチョがはためく光景が印象的。ただし参道は長い階段で、子連れには車で上まで行けるルートを使うのが現実的でした。
ベビーカー:× 階段が中心で使えません
子供向け情報:猿に食べ物を見せない・近づかない。荷物を奪われることがあります
ボダナート(世界遺産)&夕食
📷(写真:目が描かれた巨大なストゥーパ)
ポイント:白いドームの上に大きな目が描かれた巨大な仏塔。見上げると目が合う、という点でカンボジアのバイヨンにも似た「子供に分かりやすい迫力」がありました。周囲を時計回りに歩きながらマニ車を回す人々の姿が日常の風景。周辺のカフェから塔を眺めながらの夕食が定番でした。
ベビーカー:○ 塔の周囲は比較的平坦です
子供向け情報:時計回りに歩くのがマナー。マニ車は回してOKです

カトマンズは3つの世界遺産が市内にあって、1日で回れる街でした。狭いエリアにこれだけ集まっているのは珍しいの
Day2|ポカラへ移動、フェワ湖でのんびり
⚠️ この移動区間が、今回の被災帯と重なります。
以下は災害前の状況として記載しています。
カトマンズ → ポカラ
ポイント:約200km。陸路(トリシュリ川沿いの幹線道路)だと片道6〜8時間の山道で、子連れにはかなりの負担でした。国内線なら約30分で、晴れていれば機内からヒマラヤが見えるのが大きな魅力。子連れなら迷わず飛行機、というのが災害前からの定番の答えでした。
子供向け情報:国内線は小型機。天候で欠航・遅延することがありました
現在:この陸路区間は被災しています
フェワ湖のボート
📷(写真:フェワ湖に映るアンナプルナ連峰)
ポイント:ポカラの象徴である湖。手漕ぎのカラフルなボートで湖上へ出られます。晴れた日には、湖面にアンナプルナ連峰が映り込むという絶景が見られました。湖の中ほどには小さな島の寺院があり、そこまで漕いでもらうのが定番。子供にとってはボートに乗ること自体が楽しい時間でした。
ベビーカー:× ボートの乗降は抱っこが必要
子供向け情報:ライフジャケットの有無を必ず確認しましょう
レイクサイド散策&夕暮れ
📷(写真:夕暮れのレイクサイド通り)
ポイント:湖畔に伸びる「レイクサイド」は、カフェ、土産物店、ベーカリーが並ぶのんびりした通り。カトマンズの喧騒とは対照的に、空気がきれいで時間がゆっくり流れる街でした。夕暮れ時には、湖の向こうの山が赤く染まります。トレッカーが集まる街でもあり、世界中の旅行者が行き交っていました。
ベビーカー:○ 通りは比較的歩きやすい区間もありました
子供向け情報:標高約800mで、カトマンズより暖かい気候です
Day3|サランコットの日の出
サランコットで日の出を見る
📷(写真:朝日に染まるアンナプルナ連峰)
ポイント:ポカラ郊外の丘。朝日が昇るにつれてアンナプルナ連峰の雪壁がピンクからオレンジに染まっていく光景は、この旅のハイライトでした。車で丘の上近くまで行けるので、遺跡の日の出より子連れの負担は小さいのが利点。ただし朝は冷え込むので防寒着は必須でした。
子供向け情報:曇りだと山は見えません。「見えたら幸運」という心構えで
服装:朝は冷えます。上着と毛布があると安心
レイクサイドでお土産探し
ポイント:お土産の定番はヒマラヤの紅茶、パシュミナのショール、マニ車のミニチュア、手すきの紙製品、カラフルな毛糸の小物など。物価が安く、手仕事のものが手頃に手に入るのがネパールの魅力でした。値段交渉が基本ですが、無理なら断って構いません。
ベビーカー:△ 店内は狭いことが多く抱っこ紐が安心
カトマンズへ戻る → 帰国
ポイント:国内線でカトマンズへ約30分、そこから国際線へ乗り継ぎます。ネパールの国内線は天候による遅延・欠航が珍しくなかったので、国際線との乗り継ぎには必ず余裕をもたせるのが鉄則でした。可能ならカトマンズで1泊挟む日程が安心です。
子供向け情報:遅延に備えて、機内・空港で過ごせる準備を

ポカラは本当にのんびりした街だった。湖に山が映って、カフェでチャイを飲んで。またあの景色が戻りますように
子連れにおすすめだった食事
ネパール料理はインド料理よりスパイスが穏やかで、豆と米が中心。「辛くしないで」と伝えれば調整してもらえる店が多く、子連れでも食事に困りにくい国でした。
- ダルバート:豆スープ+ごはん+おかずの定食。ネパールの国民食で、辛さ控えめにできます
- モモ:ネパール風の蒸し餃子。子供がいちばん喜ぶ一皿でした
- トゥクパ:野菜と麺のスープ。体が温まり、朝食にも向きます
- チヤ(ミルクティー):スパイス入りの甘いミルクティー。街のいたるところで飲めます
- ヒマラヤの紅茶:お土産にも最適な定番品です
水道水は飲めません。飲み水はペットボトルを。生野菜や氷にも注意が必要で、子連れなら火の通ったものを選ぶのが基本でした。
復旧後に行くなら、知っておきたかったこと
- カトマンズ⇄ポカラは国内線を使う:陸路は災害前から6〜8時間の山道でした
- 国内線の遅延・欠航に備える:天候の影響を受けやすく、国際線との乗り継ぎには余裕を
- 標高差に注意:カトマンズ約1,300m、ポカラ約800m。トレッキングエリアはさらに高地になるので、子連れでは無理をしない
- 寺院は靴を脱ぐ場所が多い:脱ぎ履きしやすい靴が便利でした
- ベストシーズンは10〜11月と3〜4月:空気が澄んで山が見えやすい時期。6〜9月はモンスーンの雨季です
- 停電への備え:モバイルバッテリーは多めに持っていくと安心でした
⚠️ 今回の災害を踏まえて
ネパールはヒマラヤの氷河湖決壊や土石流のリスクを抱えた地形です。今回の災害も、氷や岩の大規模な崩落が引き金になった可能性が指摘されています。
復旧後に訪れる際は、雨季を避ける、河川沿いの宿泊を慎重に検討する、現地の警報に注意を払うといった備えが、これまで以上に大切になります。
どうなったら検討していいか
✅ 検討を始めてよいと考えられる状態
- 捜索・救助のフェーズが終わっている
これが大前提です。 - 外務省の注意喚起が解除されている
スポット情報や危険情報の状況を確認しましょう。 - 主要な交通網が復旧している
カトマンズ⇄ポカラの移動手段が通常どおり戻っているか。 - 現地の観光業が受け入れを再開している
ホテルやツアー会社が通常営業しているかどうかは、実務的な指標になります。
❌ いま避けるべきこと
- 被災地域への渡航(ラスワ・ヌワコット・ダディン・チトワン各郡とその周辺)
- 河川沿いの移動・宿泊(二次災害の可能性が指摘されています)
- 「カトマンズだけなら」という判断
現地は災害対応の最中です。交通・物流・医療のいずれにも影響があります。
情報を追うなら
- 外務省 海外安全ホームページ:危険情報とスポット情報。第一情報源です
- 在ネパール日本国大使館のお知らせ:現地からの具体的な情報が出ます
- たびレジ:登録しておくと最新情報がメールで届きます
まとめ
この記事を書いている今も、ネパールでは捜索と救助が続いています。日本人旅行者を含む多くの方の行方が分かっていません。
それでも災害前のモデルコースを残しておくのは、「ネパールがどんな国だったか」を記録したいからです。湖に映るアンナプルナ、目の描かれた白い仏塔、木彫りの寺院が並ぶ広場、のんびりしたレイクサイドの通り。それらは確かにそこにあり、多くの旅行者を迎えてきました。
いまできることは、行かないこと。そして、できる形で支援を届けること。そのうえで、いつか現地が「また来てください」と言える日が来たら、そのときは訪れたいと思っています。観光はネパールにとって大切な産業です。落ち着いたときに訪れることが、長い目で見ればいちばんの支援になります。

被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。一日も早く、行方の分からない方が見つかりますように
📅 この記事の情報について
被害状況は2026年9月上旬時点の報道・公的発表にもとづいています。状況は日々変化します。必ず外務省 海外安全ホームページで最新情報をご確認ください。
記事更新日:____年__月__日(※更新のたびに書き換えてください)

